2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

平石貴樹「笑ってジグソー、殺してパズル」

ジグソー・パズルフリークな金持ち一家で連続殺人事件が起こり、死体の周囲にはジグソー・パズルがばらまかれていた。探偵小説マニアの主治医、おかしな英語を操る家政婦、東北弁の刑事、事件の形而上学的意味にこだわる大学教授、絶叫する運転手など、おか…

山田正紀「超・博物誌」

プラズマを羽に受けて宇宙を飛ぶプラズマイマイ、異常に高密度な磁気を発生させるファントムーン、鉱石所の採掘跡に引かれたレールの上を超伝導を発生させて宇宙へ飛び立とうと疾走するカタパルトリッパーなど、なんだかよく分からない世界に存在する宇宙船…

山田正紀「吉原螢珠天神」

江戸開闢の先駆けをつとめさせられた徳川の家臣が、深川にすみつくもののけと取っ組み合う「あやかし」、秀吉の朝鮮侵略の際にキムチの味を憶え、日本でもキムチもどきを作り続け変人扱いされる武士を描いた「辛うござる」、元御庭番が井伊直弼暗殺を命じら…

柳広司「吾輩はシャーロック・ホームズである」

ロンドン留学中の漱石が錯乱、自分をシャーロック・ホームズだと思いこみ、べーカー街のホームズ邸に「帰宅」する。丁度そのときホームズは長期旅行中、ワトスンはホームズの依頼もあり、渋々奇矯な日本人の妄想におつきあい。そんな中、降霊会での殺人に漱…

伊坂幸太郎「重力ピエロ」

サラリーマンの主人公の周囲では放火と落書きが相次ぎ、主人公は落書きを消す仕事をしている弟の仕業ではないかと疑いを持つ。弟は主人公の母がレイプされて出来た子で、父親とは直接の血縁関係が無い。母はすでに無く、父親は癌で闘病中。その父は、放火と…

小沼丹「懐中時計」

友人が妻を亡くした話に呆然とするうちに自身が妻を亡くしてしまうエピソードを、勝手に居着いた猫の話の中に淡々と織り交ぜて描いた「黒と白の猫」、同じ人物を主人公として、一時期飼っていた犬が農家にもらわれていった話「タロオ」等、私小説的な日常雑…

アブラム・デイヴィッドスン「どんがらがん」

SFというかファンタジーというか、不思議で不条理感にあふれた短編を集めたもの。 いつもただならぬオーラを感じさせる作品をものし、その全てを尊敬せざるを得ない異能の作家殊能政之氏が編集し、かつ(当然だが)絶賛している本なので、とりあえず読んで…

松尾由美「ハートブレイク・レストラン」

駆け出しライターの女性が仕事場代わりに使うなんだか元気の無いファミリーレストランの片隅には、地主だった老女の幽霊が時々あらわれる指定席があり、ライターの女性の身辺に起こる様々な不思議な出来事を小耳に挟んだその老女の幽霊が、彼女にいろんなア…

J. G. バラード「沈んだ世界」

太陽の自転周期か何かの変調のため地球の気温が上昇し、北極の氷が溶け始めたために海水面が著しく上昇した世界では、今まで人間が住んでいた世界は次々と水没してゆき、人間は極を中心とした狭い範囲にしか生息できなくなる。そのような世界の中で、以前ロ…

ボブ・ラングレー「北壁の死闘」

第二次世界大戦末期を舞台として、トラウマティックな経験を持ち登山が恐怖になってしまったドイツ軍に従軍するクライマーが、ナチの思惑によって山岳部隊に引っこ抜かれ、嫌々核物理学者の誘拐に参加し、極度に登頂の難しい絶壁を二度にわたり登る羽目にな…

天野頌子「警視庁幽霊係」

幽霊が見えてしまう体質の刑事が、殺人事件の現場に居残っている幽霊たちに嫌々ながら事情聴取を行い事件を解決してゆく話。 いやいや幽霊が見えてしまう主人公、そのために胃を痛め刺激物を飲めない体質、警察以外には幽霊の存在が隠匿されている、幽霊対策…

山田正紀「50億ドルの遺産」

作者お得意の東南アジアの某国での陰謀話。ベトナム戦争で遺棄された武器が隠されているという小国の島国で、うっかり足を踏み入れてしまった日本人と、その武器を狙う殺し屋がごつんごつん殴り合う。 しかし、よく考えるというか、イメージの豊かな人だなあ…

チャールズ・シェフィールド「マッカンドルー航宙記」

マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)作者: チャールズ・シェフィールド,酒井昭伸出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1991/05/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (37件) を見る昨日書いた本の前編。作者はもっと続ける気もあった…

チャールズ・シェフィールド「マッカンドルー航宙記 太陽レンズの彼方へ」

太陽レンズの彼方へ―マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)作者: チャールズシェフィールド,Charles Sheffield,酒井昭伸出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2005/10メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (53件) を見る大天才なのだが幼児並みの行…

山田正紀「エンジェル・エコー」

エンジェル・エコー (新潮文庫)作者: 山田正紀出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1987/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る普段使わない駅にあるBOOK OFFにいくと、かなりの確率でまだ読んだことのない山田正紀氏の作品を見つけることができ大…

伊坂幸太郎「魔王」

魔王作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/10/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 162回この商品を含むブログ (458件) を見る他人の口から自分の思ったことをしゃべらせる能力がある人が、ある政治家にその能力を使おうとする「魔王」、…

石持浅海「セリヌンティウスの舟」

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/10/20メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (118件) を見る危機的状況を共有した6人のダイビング仲間がその一人の家にあつまり、酔いつぶれて朝を迎…

大倉崇裕「丑三つ時から夜明けまで」

丑三つ時から夜明けまで作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/10/20メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (23件) を見る幽霊の存在と幽霊による犯罪が警察庁によって科学的に証明され、幽霊専門の捜査班がなぜか静岡県警に試験…

ドン・ウィンズロウ「歓喜の島」

歓喜の島 (角川文庫)作者: ドンウィンズロウ,Don Winslow,後藤由季子出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1999/09メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (18件) を見る元CIAの調査官が退職してNYで調査会社に就職するが、ケネディをモデルに…

平石貴樹「誰もがポオを愛していた」

だれもがポオを愛していた (創元推理文庫)作者: 平石貴樹出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1997/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (18件) を見る他用でアメリカを訪問中の女性官僚更級ニッキがポオの「アッシャー家の崩壊」…

石原千秋「国語教科書の思想」

国語教科書の思想 (ちくま新書)作者: 石原千秋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/10/04メディア: 新書購入: 6人 クリック: 42回この商品を含むブログ (101件) を見るこれもタイトル倒れ。教科書の内容の選定にも関わっているらしい早稲田大学の教授の著…

内田樹、春日武彦「健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体」

健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)作者: 内田樹,春日武彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/08/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 42回この商品を含むブログ (130件) を見る武道論・フランス現代思想が専門の内田氏と精神…

戸松淳矩「剣と薔薇の夏」

剣と薔薇の夏 (創元クライム・クラブ)作者: 戸松淳矩出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2004/05/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る1860年、遣米使節団の訪米でお祭り騒ぎのニューヨークを舞台にした、連続…