チャールズ・シェフィールド「マッカンドルー航宙記」
- 作者: チャールズ・シェフィールド,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1991/05/02
- メディア: 文庫
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まあ、帯には「ハードSF」とか「スペースオペラ」とか書いてあるが、実際の所理屈っぽくもないし、壮大でもなく、つまらないことで人々がいがみ合い争うのだが、ある時点でそれにも勝る危機が起こってみんな忘れてしまったり、えいやと誰かが力づくで解決してしまったりと、極めて人間的なエピソードが続く。ただ一ついわゆるSFっぽいなあと思わせる「真空の色彩」などというエピソードもあるが、これはこれで古典的にアイディアが古く、安心して読むことが出来る。この人、やっぱり物語の作り方が本当に上手だなあ。本人はどのような気分で書いているのかは分からないが、おそらく楽しければ良いという気分が強いのではないか。そうやって読むと、むしろSFっていう舞台装置をかなり意識的に使っているというか、その仕組みを物語の中に逆に取り込んでしまっているというか、なにかそんな気がしてくる。よく分からないけど。関係ないが、僕が「ハードSF」という言葉に違和感を持つのは、これが僕のアメリカ人のSF好きの友人に全く通じなかったから。著者が解説の中で使っているのだけれど、本当は違う表現じゃないのかな。そもそも、「ハードSF」とか「ソフトSF」って日本語なのではないかな。このような意味の全く感じられない分類が好きな人って、多そうだからなあ。自分の読んでいる物語がそのどちらに分類されると言うことが、物語を読むことのどのあたりに関係するのか、僕には全く分からないのだが。