道尾秀介:骸の爪
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 文庫
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
道尾氏の作品は、単行本でよく書店に並んでいるので気になっていました。また、年末の図書ランキングでもいつも上位に食い込み、しかもその作品量が半端無い。一度は読んでみようと思ったのだけれど、ホラー系が苦手な私としてはあまり手が進まず、ようやく文庫で一冊読むことができました。しかし、なんだか残念。物語は極めて典型的で、あっというまに予測が可能な気がします。それはそれで小説の善し悪しとは関係ないと思うのだけれど、それ以外の部分もあまりに典型的すぎる気がします。筋立てを先に作ってお化粧をしたような、なにか意外感を感じることができないこの雰囲気は、物語の筋立てにとってはかなり厳しい条件のように思います。仏像を主題に据えたとは言いますが、ある種節度に溢れた描写からは、知識を持っている人にはあまりペダンティックな魅力を感じることは難しいのではないのかなあ。もう少しじっとりとした文章ならば、印象も変わったと思うのですが。