小田隆:Paleontology Art 恐竜復元の世界


行ってきました。丸善丸の内本店4階ギャラリーにて。ご本人のブログにたまたま巡り会い、その力強い作品と、加えて響きあることばにすっかり魅了されていたぼくは、いつか作品をみてみたいと思っていたのですが、丸善丸の内店のギャラリーで展覧会があるとのこと。しかし最終日まで都合がつかず、昨日なんとか時間をひねり出して、終了間際、16時半に駆けつけました。そして予想通り、というか予想以上の感動と興奮がぼくを待ち受けていました。

是非ご本人のブログをみていただきたいのだけれど、小田先生(先生は成安造形大学で教鞭をとられています)の作品には、徹底したディテールの積み重ねが一見して見て取れると思います。実際に作品を見てみると、しかしそれだけではない。細部の積み重ね以上の全体が、そこには輝きをもって存在するのです。全体は細部の集積ではなく、また細部は全体の一部なわけではない。そのそれぞれが、独立に、かつ共鳴しあってひとつの輝きあるなにか、そのようなものを生み出しているように思いました。

面白かったのは、なにか先生のドローイングは建築のドローイングを思わせるところです。それは、上記のごとく細部と全体の関係が、ある種建築の考え方に共鳴するところがあるのかもしれませんが、同時に恐竜の骨格のドローイングには、建築の構造を思わせるものがありました。これだけの重さを支えるためには、おそらくこの箇所には大きな圧縮がかかるはずだとか、こんな長い首と尻尾が片持ち梁のように伸びているということは、これを引っ張るテンション材のような筋肉があるはずだとか、そんなことを考えながら魅入ってしまいました。

そして、先生のドローイングで溢れた本を一冊購入して帰ろうとしたら、なんとご本人が。たまらずご挨拶させていただき、上に書いたようなことをもごもごと申し上げたところ、「僕は、構造に興味があるのです」とのお言葉を。なるほど、だからぼくはつい「建築的」と思ったのかも知れないなあと、感じさせられました。また、今回の展示会でぼくが一番感激したのが、「吊るされたものたち 08-01 ハシブトガラス 6」に出会えたことです。しかし先生曰く他に場所が無かったとのことで、この作品はレジカウンターの横という、ストロークを持って対面することができず、しかも外光と照明が反射するという場所に置かれていました。厚かましくも、ちょっとあの作品が可哀相ですねと口走ったところ、なんと手ずからギャラリーの壁面へ移動していただきました!それ自体にも感動しつつ、ありがたくじっくり観させていただいたのですが、やはり作品への距離のとりかた、焦点の取り方によって、受け取れる印象が大きく変化すること、そしてその変化自体が、一つの作品に大きな広がりを、力強さを与えていると感じさせられました。久しぶりに学生に戻ったような、素敵な気持ちになることのできた一日でした。

写真は、上が恐竜の骨格のポストカード、下が同じポストカードと、わたしには先生の画集にしか見えない「カメのきた道」。どちらも超素敵です。

カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)

カメのきた道 甲羅に秘められた2億年の生命進化 (NHKブックス)