閑話休題:嫌いなもの

嫌いなもの。

啓発系のすべてが嫌い。ライフハックも同様。ぼくをこれ以上啓発しないでくれ。そもそも、人間はそんなに頑張らなくても、適当にだらだら生きていたほうがいいよ。みんな、啓発されずにゆっくり生きようぜ。

電車の発車するときのメロディーが嫌い。なんといっても、駅によってバリエーションをつけている、あのこまやかなデザインが恐ろしい。蒲田駅では蒲田行進曲の寂しいメロディーだけど、あれを毎日聞かされる駅員さんは大変だよ。原宿や大久保みたいなデザインされた音も嫌いだけど、お茶の水みたいな人を急き立てる音も辛い。別にいいじゃん。電車のドアが突然閉まったって。数分待てば次の電車が来るんだからさ。

美容院での会話が嫌い。というか、難しい。まったくなにも話さず、呆然と座っていられればよいのだけれど、そうも行かない。「どこにお住まいですか」「ご趣味は何ですか」「最近どんな本を読まれますか」などと問われて、「終戦直後のおもむきを残した下町です」「本を読み続けることです」「津原泰水」などと答えるわけにもいかない。あたりさわりのない、普通の会話とおぼしき受け答えを行い、美容院をでるころにはすっかりぐったりしてしまう。

侍ジャパン」が嫌い。「侍」ってなんですか。中世封建制の時代を生きているの。しかも、ワールドベースボールクラシックなんていいながら、参加国16カ国だぜ。ワールドなのか、ローカルなのか、よくわかりません。

ヨドバシカメラの店内放送が嫌い。アキバのヨドバシの7階有隣堂に行くまで、あの騒音を通過しなければならないのが苦痛。あの騒音の中で、一日働いているひとはどんな気持ちなのだろうか。

本のカバーを、表紙を取り外してきっちり包む方法が嫌い。本の表紙って、やっぱりデザインを見てみたいじゃない。あと、登場人物紹介とか、表紙を開けた右側に書いてあったりしますよね。あれを見えなくするような、きっちりしたカバーの仕方はすごく困る。だからといって書店で「くるむだけで結構です」っていうと、書店員さんが動揺して、普通以上に時間がかかってしまうのも、なんだか申し訳ない。

雨の日に、傘を持たないで歩くのが好き。そんなにざーざー降りにはならないし、両手を自由に、大きく振って歩くのは楽しい。傘を持たないと、遠くまではっきり見ることができるし、人にもぶつからない。お店に入っても、傘を立てかける必要もない。ちょっとぬれてしまって寒かったりするけど。

体育会系な感じが嫌い。上下関係、ぶちこわして楽しみましょう。というか、上に弱くて下に強いって、間違っている気がする。だって、上は僕よりできてあたりまえでしょう。下が、僕よりできる人だったら、尊敬に値するよね。そんな感じで、先輩には嫌われているような気がしなくもない私であります。

夜明けが嫌い。朝4時くらいになると、だんだんと明るくなって、雀が鳴き始める。あの感じが、切なくて嫌い。僕の夜はどこにいってしまったのだろう、これから眠るとすると、起きる頃には夕方かなあ、寝ないで頑張って仕事しても、午後2時くらいには朦朧としてしまうんだろうなあ、などと考えてしまうのが嫌だ。体温がだんだん下がってきているような感じがするのも苦手。


結局、そんなに嫌いなものは、ないんだなあ。