赤城毅「書物狩人」
- 作者: 赤城毅
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: 新書
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赤城氏と言えば優れたジュブナイル小説家だと思っていたのだが、こんな小説をあっさり書き上げてしまうくらいだから、ずいぶんと書物の魔の手に絡め取られてしまっているみたいなのだが、それはさておきとても面白い。文章は多少崩し気味というか、切れ味よりは説明的表現を優先させる親切設計の語り口だが、物語の内容は思わず引き込まれてしまうくらいのハードな構築をされていて、そのギャップが素晴らしいというか、とにかくなんだか面白いオーラが漂う。物語としては一つのエピソードがだいたい一つのクライマックスで構成される、簡潔にして単純な組み立てなのだが、そこに差し挟まれる書物的蘊蓄というか衒学的趣向は、ある種常軌を逸していて素晴らしい。ああ、この人は本当に本が好きなんだなあと思うことができる良作でした。なかなか重みがある内容だと思ったのだが、2時間で読み終わってしまうから不思議である。一体この人は文章が上手いのかなんなのか。よく分からないがとても楽しめました。