ヘニング・マンケル「リガの犬たち」
- 作者: ヘニングマンケル,Henning Mankell,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/04/12
- メディア: 文庫
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これはスパイ小説でした。雰囲気としては懐かしのフレデリック・フォーサイスというか、つまり東西冷戦時代の雰囲気がぷんぷん漂うのだが、この小説が凄いところはそれが書かれた時代には現在進行形で進行していたところにある。それはそうと。これは今まで読んだヘニング・マンケルの小説とはまったく違った構成だった。ヴァーランダーはおそるべき陰謀に巻き込まれ、スパイさながらの潜入捜査を行うのだが、なんと銃撃戦に巻き込まれ九死に一生を得る。しかも、不思議な女性とのロマンス付きである。緩慢とした衰退へ向かうスウェーデン人に向けたアクション活劇大作かとも読むことができるぐらい、大げさで現実感のない物語である。しかし、それはそれ自体で小説の欠点では全くなく、そういうものとして非常に楽しめた。ただ、このテイストが続くとちょっと付き合いきれないなあ。次を読むのは少し待ってからしようと思う。