ジェフリー・ディーバー「死の開幕」

死の開幕 (講談社文庫)

死の開幕 (講談社文庫)

爆破テロの標的となったポルノ映画館からインスピレーションを受け、ポルノ女優のドキュメンタリーを撮影することを志した女性が、その後も続く爆弾テロと殺人事件に巻き込まれるはなし。

ジェフリー・ディーバー初期の作品とのことだが、そのためか全編に構成がゆるくまどろっこしい。主人公の女性は行動を全く構築することなくむやみやたらにインタビューしたり不法侵入したりすること自体が何とも非現実的だが、それを無理矢理に物語の中に回収させ筋を成立させてしまうのは、読んでいて意外感に襲われると言うよりは、あまりにも強引な作者の筆の運びに興醒めしてしまう。とにかく、主人公の設定も良く訳が分からず、ポルノ女優を主題にしたドキュメンタリーの内容も、読んでいてさっぱり分からない。おそらく、他の作品と差別化することを前提に構築された筋立てという感じが強すぎる。ジェフリー・ディーバーにしてはあんまり面白くない。