西澤保彦「ソフトタッチ・オペレーション」

ソフトタッチ・オペレーション (講談社ノベルス)

ソフトタッチ・オペレーション (講談社ノベルス)

超能力犯罪をとりしまるロリコン趣味的扮装の女の子と、その子を含めなぜか女性に取り囲まれる男性小説家を主人公とした、超常推理小説短編集。サイコキネシスで部屋に侵入されたという意外に全く関係ない三人が次々と引っ越したのはなぜか、バンドの練習に集まった若者がその家の主の死体を発見する話、自分が作った料理を食べた人はみな無惨に死んでしまう男の謎、密室に女性と閉じこめられた男性の話など、5編収録。

相変わらずの西澤氏という感じで、やっぱりどれも以前のような鋭さが感じられない作品集でした。というか、並び順が悪いのではないかなあ。一番最初のお話はいわゆる安楽椅子探偵(安楽探偵椅子?)ものなのだが、正直言って事件が物語り自体から突き放されてしまっているというか、なんだかどうでもいいような雰囲気で展開し、解決編もなんだかピンと来ない、ああそうですかと言いたくなるような展開で終わってしまう。これでずいぶんこちらのモチベーションは低下してしまい、その次の作品は結構良い出来なのではないかなあと今になっては思うのだがそのときはただ気持ち悪く、その次の話は結構面白かったのだが解決に納得がいかない、その次の話は退屈で、最後のはなしは最近の西澤氏らしく主人公がなぜかハーレム的展開に巻き込まれ、笑えない冗談と下ネタが飛び交う中、アニメ的登場人物がアニメでも言わないであろう不思議な台詞を口走りつつ、物語的にはある程度以上の整合性を見せて終わる。そんなに悪くもない本だなあとは読み終わって少ししてから感じたことで、読んでる最中はなぜか不愉快になってしまった瞬間もあり、これは並べ方とか少しの表現とか、そういう問題では無いかなあと思った。