マイクル・Z・リューイン「探偵家族/冬の事件簿」

イギリスのバースで家族で探偵業を営むルンギ一家の元に、ポケベルから脅迫が届くという事件が持ち込まれ、その合間に洋服屋を汚い格好で占拠して金をせびる少女達の事件や裏庭から死体が見つかった事件や娘が警察に補導される事件を解決する話。

どうもこのシリーズとは相性が悪いのだが、解説にはほのぼのルンギ一家の暖かい家族の物語と書かれているが、展開されているのは中学生の娘と息子の口汚いの知り合いであり、金に汚い娘のどう考えても頭が弱いとしか思えない愚かな行いの後始末であり、家族お互いは充分にコミュニケーションを取ることをせず、結果として情報のすれ違いが生じ事件の解決が遅延すると行った、むしろ家族の中で生じるすれ違いと不信、そして若い世代の知能的堕落のお話のような気がする。作中の事件はどれも事件と言うほどのものではなく(それが解説をして「ほのぼのと楽しい一家のユーモアあふれる大活躍」とかかしめているのかも知れないが)、しかも細切れに展開するおかげでえらくリズムが悪い。一つ一つのエピソードは不思議な座りの悪い結末を向かえ、孫娘の不可解な言動がその居心地の悪さに拍車をかける。そんなわけでこのシリーズはちょっと苦手です。