綾辻行人編「贈る物語 Mystery 9つの謎宮」
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/10/12
- メディア: 文庫
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時間が無くて買いたい本がすぐに特定出来ないと、たまにこのような短編集を買ってしまい、読んですぐに後悔することが多い。多くの作者をそろえていると言うことは、僕のような極めてストライクゾーンが狭い趣味を持つ人には、趣味から外れてしまう作者が多いと言うことにもなり、ひどい時には2,3人の作品しかまともに読むことができない、という事態になることもあるからだ。この作品集に関しては結果的にはそのようなことになることはなく、全員の作品を楽しく読むことができた。その面で言えば、綾辻氏の編集の手腕が非常に優れているのかも知れない。一番面白くなかったものが初めて読んだホックのもので、この人の作品は今後読むことは無いと思う。その次にくだらないと思ったのがノックスで、こんな人が作ったスタンダードを大事にしている人々はなんて面白い人たちなのかと思ってしまった。一番楽しめたのが山田風太郎氏のものだが、これは残念ながら既読であった。泡坂氏は相変わらず品がないが見事な作品で、連城氏もさすがの一言。「新本格」以降の若手作家に大きな影響を与えたと解説に書かれている鮎川氏の作品は、そもそも小説としての完成度に問題があるのではないか。法月氏の作品も山田氏の作品の次に好きだが、これも残念ながら既読。解説の綾辻氏の我田引水的な議論はほほえましくも恥ずかしい。再近作のできばえがアレなだけに、これだから「本格ミステリ」などと恥ずかしげも無く叫ぶことができる人たちの小説は面白くないのだ、などと考えてしまった。