ジョージ・R・R・マーティン「七王国の玉座1 氷と炎の歌1」
- 作者: ジョージ・R.R.マーティン,George R.R. Martin,岡部宏之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 68回
- この商品を含むブログ (119件) を見る
この巻にいたって、一見重要そうに見えた人々がばたばたと死んだり失脚し始め、物語はがぜん加速度を増して行く。一方で、第1巻より始まった登場人物の分派と展開もますます激しくなり、主要人物の名前は分かるものの、従者や護衛の騎士の名前など覚えられるはずもなく、目の前を淡々と通り過ぎて行く。しかし、相変わらずすばらしい。どの巻を読んでも思うので自然と感想が同じような物になってしまうのだが、発達不全で肢体不自由者的特徴をもつもの、王の息子ながら私生児として北に放逐される少年、敵へのおそれが息子への異常な愛情に転化した城主の女性、島を追われながら復讐を夢みて辺境の王の妻となる女性など、痛々しくも生々しく、全く救われ無いながら輝きを持つ人々の描写は、なにか異常なものが作者に乗り移って書かせているのではないかと思われるくらいに深みがあり、力強い。後一冊で終わるこのシリーズを読み終えたら、続きは既刊の単行本で買うしかないかなあ。とても毎月一冊は待つことが出来ないよ。