ウィリアム・C・ディーツ「天空の秘宝」

天空の秘宝 (ギャラクティック・バウンティ ハヤカワ文庫SF)

天空の秘宝 (ギャラクティック・バウンティ ハヤカワ文庫SF)

SF世界の賞金稼ぎが、軍隊時代の元上司をとっつかまえる仕事を受注、しかし裏切りやら何やらで極寒の惑星「アリス」に足止めを食ったりしつつ、最後には「戦いの惑星」で「天空の秘宝」を見つける話。

リズム良し、訳文も良し、まあ良いのでは無いのでしょうか。暇つぶしには。基本的には「スターウォーズ」の世界をベースにオリジナルストーリーを作りましたといった雰囲気で、新しさや破格さはみじんも感じられない超保守的構成。物語は予定調和的に進展し、主人公は不気味かつ無根拠な余裕を見せつつ全ての危機難関を軽々と突破し、非常に安心感を持って読み進める。まあ、「レギオン」シリーズ的でもあるが、この物語のいけないところは、途中で物語の構成がよれよれになり、むしろシナリオ的な大枠の構成だけで進展しはじめるところで、もうまじめには読んでいられない。でも、それでも最後まであきらめずに読み通せたので良かったのでは無いのでしょうか。それなりに上手いし、それなりに楽しめる。うっかり続編も読んでみようと言う気になるのだから、人生は陥穽に満ちあふれているのである。後書きをみたら、やっぱり「イラスト付きスターウォーズ小説」などを書いている人でした。