エリック・マコーマック「隠し部屋を査察して」
- 作者: エリック・マコーマック,増田まもる
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 文庫
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ずいぶんひねくれた話ばかりで、雰囲気としては日影丈吉とか、生々しいバラードみたいな感じがした。一時期幻想文学と呼ばれる小説も読んでいたことはあるが、いつのころからかさっぱり読まなくなり、それはなぜかと考えてみると、どうも物語としてのまとまりの無さ、結局の所完成度の低さが気になったからだと思うのだが、本作はずいぶん楽しんだ。どのはなしも危うく物語がぼろぼろ解体してしまいそうな危うさに満ちてはいるのだが、不思議と最後にはしっかりとまとめられ、落ちがつく。ただ、おそらくこの人の特色はなんと言っても静かな中に充満したグロテスクな描写で、部分的にはなんともついて行けなくなる嫌な気分がしたが、こういう嫌な気分になる小説は大好きなのでとても良かった。悪趣味な内容をとても洗練した方法でまとめ上げた作品集。稲垣足穂ほど洗練されているわけではないが。マルキ・ド・サドほど悪趣味でもない。