マイケル・ムアコック「この世の彼方の海 永遠の戦士エルリック2」

アルビノで日常的に抑鬱状態の戦士の冒険譚。ぶんぶん勝手にうなりを上げる巨大な剣を誰かに突き刺すと、剣が相手の生気を吸い取り主人公にも流し込むことでハイになり、その後バックドローでますます気分が落ち込む悪循環を繰り返す。物語は、舟に乗りながらなんだかよく分からない島で剣を振り回す話、自分の都合で留守にした都をのっとられたあげく逆上して都を焼き討ちにする話、本がぼろぼろになる話、城が歌う話の4編収録。


このシリーズを読み始めたそもそもの動機が、殊能作品のよりよき理解のためという、多少本質的ではないものだったためか、2巻目に突入しても全く楽しめない。これは趣味と相性の問題なのか、それとも翻訳の問題なのか定かではないが、少なくとも「新版」と銘打ってのこの文章の硬さにはちょっと問題が感じられる。


物語についても、世界観や主人公の位置づけがはっきりしないまま不思議な作業にいそしむため、なんだかちっとも理解できない。定本にしているシリーズがあるのは分かるが、物語の順番はこれでよいのかなあ。むしろ最初のシリーズ+書き加えたサイドストーリーの方が、世界には入りやすい気がするのだが。主人公が悩んでいるようで全く悩んでいないところは多少面白い。