竹本健治「狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役」

狂い咲く薔薇を君に 牧場智久の雑役 (カッパ・ノベルス)

明峰寺学園高校二年生の武藤類子に思いを寄せる高校一年生の津島海人が、学園内で３つの事件に遭遇し、最後は武藤の彼氏である囲碁の神様牧場智久の登場を待ってしまう話。

遅筆・寡筆で有名な竹本健治の新刊が出たので、迷わず購入。しかし、最初の話はどこかで読んだことがあったのでパス。とても腹立たしい。アンソロジーで収録していたならそう書いてくれれば良いのに。二番目の話は、ある意味一つのシチュエーションのみで物語が展開する、密室劇。なんだか難しくてよく分からない。まあ、でも良いのではないのでしょうか。竹本健治だし。最後のはなしは、人間の腹が割かれて内蔵が取りさらわれるという殺人事件の話。物語の展開、結末共にとても無理があり、とても納得できない。まあ、でも良いのでは無いでしょうか。竹本健治だし。

と思って読んでいたら、最後の後書きで、これらの話はマンガのシナリオ用に竹本健治を含めた何人かで合作したものと判明。そうか！だから面白くなかったのか。これは純粋な意味で竹本健治の作品ではないのか。あー、よかった。竹本健治がこんなに面白くないわけ無いもんね。というわけで、本屋で将棋殺人事件を買ってきました。久しぶりに読んでみよ。竹本健治が本当に素晴らしかった頃の作品をね。