ダグラス・アダムズ「銀河ヒッチハイク・ガイド」
- 作者: ダグラス・アダムス,安原和見
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/09/03
- メディア: 文庫
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とにかくハイテンションなアドリブ感とグルーブ感に貫かれていてやたら楽しい。物語の筋は上にまとめたようにほとんどどうでも良いというか、あまり気にしなくても楽しめるし、気にしてもよく分からない。何より全編を通して、よくまあこんなにひねくれた文章を書けるなあと、始めは笑い転げながら、半ばくらいではほとほと感心し、最後にはいい加減馬鹿馬鹿しくなりながら読まされるくらいの、無意味にシュールでシニカルな描写に溢れているのがとても素晴らしい。いったいなんなんだ、この作者は。
西暦2000年前後と言うために「たまには人に親切にしようよ楽しいよ、と言ったばかりにひとりの男が木に釘付けにされてから二千年近く経ったその日」といってみたりする感じ。ロボットが出てきたかと思えば無駄に内省的で、全ての発言が悲観的かつ虚無的で読んでいてほんとうにいらいらする。ああ、でもこれ面白いですよ。おそらく翻訳も素晴らしいに違いない。なんたって訳者後書きまでテンションが高い上にとても楽しめる。「執筆時期にプライベートで不幸が重なったため、必要以上に暗い虚無的なトーンになったとも言われている」というシリーズ最終作も気になるなあ。