星新一「声の網」
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: 文庫
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そのデザインだけではなく最近は手触りも素敵なブックカバーをつけてくれる、吉祥寺の書店ブックスルーエで、あまりに表紙が素敵なので手に取ったら、なんと12章に分かれている全ての章の始めにこれまた素敵なイラストが。片山若子というイラストレータが描いているらしい。これは確か「春季限定いちごタルト事件」の表紙とおんなじひとだあ。そんなわけで、今回は本当に本自体がほしくなったので購入した。お話は上に述べたとおり。ある意味、過去の時点でインターネットを電話に置き換えて想像したお話。コンピュータは存在するがPCの概念がまだ無かった時代に構想されたもので、その懐かしい手触りはとても楽しい。また、あっけらかんとしたSFかと思いきや、極めて乾いた話調の中で展開される話は驚くほどダークというか、不思議に破滅的。最終的なお話の終わり方には、なにか体温が下がるような、冷え冷えとした感じがあってとても面白かった。星新一っていう作家はほとんど読んだことがなかったが、まともそうで結構異常だなあ。素敵素敵。しかし、何が良かったかといって、次の挿絵を見たくてわくわくしながらページをめくる感覚は最高でした。久しぶりに楽しい読書をしたよ。