エドモンド・ハミルトン「透明惑星危機一髪!/時のロストワールド キャプテン・フューチャー全集4」

ぼくらがキャプテン・フューチャーの宇宙大活劇創元SF文庫版第4巻。在独の独文学者Y氏から海を越えてお勧めのメールが届いたので、即座に購入。あいかわらず味わい深い。


Y氏のお薦めは「時のロストワールド」。キャプテン・フューチャーがなんと時間をさかのぼることのできる装置を開発し、過去からの救助依頼に応えようとするのだが、いきなり地球に不時着し、宇宙船コメット号は大破。それをなんと即席の溶鉱炉でもって資材を確保して補修、宇宙に旅立ち、その後も相次ぐあれやこれやのピンチをくぐり抜ける。という筋書きからもわかるとおり、なんともつっこみどころの多い、はちゃめちゃなストーリー。でもこれが楽しい。物語的にはほんとうに水戸黄門的予定調和のドラマなのだが、このエピソードは不思議とゆったりとしたスケールというか、それこそ宇宙的な記述に遊び心が感じらる。土星の輪や月のクレーターの成り立ちが一挙に解明されてしまい、天体には全く興味のなかった僕でもなんだかゆったりとした心で楽しめた。「透明惑星危機一髪!」はもうちょっと西部劇的なのだが、これも突然相方の泥酔シーンなど、良く訳の分からない記述が挟み込まれていて面白い。翻訳も悪のりに近い遊び心が感じられ、見事。しかし、なぜ「The Magician of Mars」が「透明惑星危機一髪!」になるのか、訳が分からない。