田口ランディ「コンセント」



それゆけ年末棚卸しアップ第四弾。社会に適応できなかった兄が自宅で自然死していたことに衝撃をうけた妹が、転移関係になってしまい関係が破綻した昔の教師に再びカウンセリングをうけ、そんでどう考えても状況が悪化して、公園で全裸で叫んだりして、沖縄のユタに会いに行く話。

貸してくれたユッキーには申し訳ないのだけれど、残念ながら文章が未熟というか、水準以下というか、ちょっと感想が難しいでございます。突然登場人物が延々一人で話し出してしまったり、一人称の私を褒め称えてしまったり、物語が極めて予測可能な、小さな枠の中で推移している感じがして、なんとも興醒め。何が言いたいのか分からない小説は基本的に大好きだが、それでも読んでいる人を物語にとりこもうと努力はしてほしい。例えば青来有一などは、よく分からない宗教的というかカルト的な世界を、非常に生々しく描くことによって否応なしに読者を世界に引きずり込んでゆく。しかし、この作者にはそのようなパワーと引力、つまり文章の力が決定的に欠けている。なんだが常に躓きながら読まされている感じで、全く入り込むことができない。物語自体は面白い題材だとは思ったのだが。意外感というか、物語が自立性を失い、勝手に進んでしまってゆくような感じが、残念ながら感じられないのだ。