ジョージ・R・R・マーティン「サンドキングズ」

サンドキングズ (ハヤカワ文庫SF)

サンドキングズ (ハヤカワ文庫SF)

おそらく未来のよくわからん種類の生物たちが住む惑星で、キリスト生誕をでたらめにアレンジして布教を続けた男の顛末、機能しなくなった宇宙船を魔法の乗り物と偽り少女を拉致した女の話、蛆を神とあがめる人たちの洞窟探検話、光速よりはやく移動できるようになった宇宙飛行士となれなかった宇宙飛行士の話、宇宙の交易港でのトリップ話、同じような場所を舞台にした異常に安っぽい復讐話、恐ろしいペットに殺されそうになる話の、計7本の中編集。

「タフの方舟」が最近文庫化されて話題になったためか、SF・ファンタジー作家のジョージ・R・R・マーティンの初期のSF短編集が復刊された。基本的にはSFと呼ぶのだろうが、まあどうでも良い。最近この手の小編・中編集が良く出版され、手に取ることもたびたびなのだが、いつもいつも後悔するばかり。面白い話も数本はある場合があるが(しかもいつも最初の方)、たいてい途中で読むに耐えなくなる。おそらく理由は二つあって、一つは翻訳があまりにも古くさくかっこわるいこと。思い入れのある人が一生懸命雰囲気を再現しようとしているのだろうが、だからといってそのような人が翻訳が上手いわけでもない。「スターレディ」なんて、朦朧としながらルパン三世を見たときのようにはちゃめちゃ。雰囲気を出そうとの努力が感じられてしまうところがさらに痛々しい。あとは、やはりもう原作自体が古くさいのだと思う。ジャンル小説は、やはり流行のものなんでしょうね。今になって読めば、なんでこんなものをそもそも書こうかと思ったのかが分からない。SF作家といわれながらも、ジャンルを軽々とぶちこわしていったディックやバラード、ギブスンのような作家は、やはりなかなかいないよね。