塩野七生「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前 上・中・下」

ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)

塩野七生の本は読んだことが無かった。つまりこの一連のシリーズも、「ルビコン以前」から読み始めたわけである。その理由は単にここから貸してもらったから。でもあまり問題はない。ユリウス・カエサル幼年時代からルビコン川をわたるまでの、主にガリア戦役を中心としてかかれた年代記

世界史は高校で勉強していたはずなのだが、なぜか全く憶えていない。ルビコン川と言われても、ロシアのどこかにあるのかと思ったくらいだ。というわけでとても新鮮だった。ユリウス・カエサルも聞いたことはあるのだが、いつ頃何をしていたのかなんてさっぱり知らない。へー、こんな人だったのか。塩野七生の記述はなかなかのもの。大きな特徴としては非常に地理的感覚が感じられる。地図を多用するからかもしれないが、初めてヨーロッパの古代の姿が理解できた。今や、ぼくにとってドイツ人とは森に住む野蛮な狩猟民族であり、フランス人はガリア人と呼ばれる部族集合体であり、イギリス人に至ってはほぼ未開の生活を営む人々が想像されてしまうのである。とりあえず三冊片づけたが手元にあと三冊。この前書店で見たら、文庫で19巻まで出ているではないか。これは長い闘いになりそうである。