畠中恵「おまけのこ」

おまけのこ しゃばけシリーズ 4

おまけのこ しゃばけシリーズ 4

大妖怪を祖母に持つ若旦那は病弱で寝込んでばかり、白沢や犬神の転じた姿である手代達には過保護に育てられ、いつも枕元には妖怪達が遊ぶ。そんな不気味な毎日の中で生じる花魁の足抜け騒ぎや親戚の娘の精神不安などを、若旦那を中心として妖怪達も一役買いながらある程度おさめてゆく。


病弱な若旦那のシリーズの四作目。相変わらず文章は上手、物語も緊張感なくのんびりと良くできていてとても読みやすい。本の作りも多少軽めで、定価1300円はとても嬉しい。相変わらず表紙は柴田ゆう氏でこれもなかなか味がある。ただ、前作までと比べるとなんだか雰囲気が宜しくない。シリーズものを読むときに、ある一定のキャラクター達が個性をだんだんと発揮させてゆき、そのキャラクター達の造形が深まってゆくのを好む人にはとても面白いと思うのだが、僕にはなんだかキャラクターに寄りかかりすぎている気がして多少気持ちが悪かった。一つの完結した世界をマニアックに作り続けていると、知らずと読者に「分かる」ことを期待して作者は書いてしまうのではないか。その場合、なにか分かることを期待されているというか、同じ理解をし、共感をすることを読み手と書き手の対話なしに(非常にあいまいな表現だが)強要されている気がしてしまう。この作品がそこまで押しつけがましいとは思わないのだが、なにかそのような感じがしてしまうことは確か。是非、読者を突き放すような方向に今一度方向転換してほしいものです。若旦那急死とか。