山田正紀「破壊軍団 <スーパーカンサー1>」

週刊誌のゴシップ記事の記者である若者は危機に陥ったり我を忘れたりすると異常な身体的能力の向上が生じるのだが、その彼がピザチェーンの社長のアメリカ軍の食生活を支配するという壮大な野望を阻止するために、東京湾の埋め立て地の中で戦争行為を行い、挙げ句の果てにはトーチカごと海に落とされたりしながら生き延びる話。


相変わらず脳みそがとろけるような馬鹿馬鹿しい話でとても素晴らしい。第2作は読んだことがあって、そのあまりの馬鹿馬鹿しさにうっとりしたのだが、本作は第1弾ということもあるだろうが、その馬鹿馬鹿しさにより勢いがあって良い。ストーリーは相変わらずないも同然で、適当に次々と主人公に危機が訪れ、そろそろページ数にも限りがありまして、という雰囲気になったとたんにそれらしく最後の死闘が行われ物語が終了する。このようなテンションを本1冊のみ成らずシリーズとして書き続ける山田正紀は、本当に凄い作家である。どう考えても大した作品ではないのだが、それでも決して馬鹿には出来ない、というかのけぞるようなすさまじさが、感じられる。もしかしたら気のせいかもしれないが。