岩崎正吾「闇かがやく島へ」

甲府の山村で死んだ祖母の遺言に従い許嫁がいるという島へ赴いた青年が、次々と連続殺人事件に巻き込まれ、みんなの生活を台無しにしてゆく話。

創元推理文庫で「探偵の夏あるいは悪魔の子守唄」という横溝正史のパロディーが復刊されたときに衝撃を受け、続けてクイーンのパロディーの「探偵の秋あるいは猥の悲劇」を読んでみたらこれも結構面白い。でもドイルのパロディー「探偵の冬あるいはシャ−ロック・ホ−ムズの絶望」はちょっとやりすぎというか、何で?という感じであんまりだなあと思っていたのだが、本書もその線に近い。全体的に安っぽく、男性願望充足型の挿話が続く。雰囲気としては芦原すなおのミステリーから深閑としたところを全て抜き、ポルノ風味を効かせた感じ。「風よ、緑よ、故郷よ」はそれでも静かな雰囲気で良かったのだが、これは駄目でした。