石田衣良「少年計数機 池袋ウエストゲートパーク2」

例のアレの第二弾。デジタルのぞき部屋とストーカーの話(妖精の庭)、LD少年と誘拐劇(少年計数機)、老人の任侠話(銀十字)、風俗店強盗とレイプ犯の少年の話(水のなかの目)の四編収録。

相変わらずテンポ良く楽しく読めるのだが、多少文章に精細がない。この作家のエンターテイメントであろうとする心意気のようなものが最も文章を輝かしていると思うのだが、逆に下手に文章や物語を細工することで、せっかくのスピード感や脱臼感を失わせている気がする。特に最後の話は、物語の展開がめまぐるしく、非常に緻密に構成されてはいると思うのだが、要所要所のクライマックスや劇的な登場人物の存在に意味が感じられない。ある一定の効果を狙い、適当に様々なエピソードをちりばめただけの感があり、全体としての密度感に欠ける。しかも物語の展開自体はだいたい冒頭で想像が出来てしまう。「銀十字」はなんとなく物語が破綻していてとてもおもしろかった。老人達のキャラクターも馬鹿馬鹿しくてとても良い。