石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)

池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)

いわずとしれたドラマ化されたアレ。

ああ、これは面白い。ドラマも全然見ていなかったので内容はほとんど知らなかったが、文章も構成も今まで読んだ石田氏の作品のなかでは一番良い。ってゆうか、ここまでかけるんじゃないか。最近の作品はずいぶん急いで書いているか、手を抜いているなあ。あんまり登場人物には現実感がなく、池袋の芸劇前の公園もリアルなアレとはずいぶん趣が違うが、でもそれはそれでとても雰囲気がでていて楽しい。結局「必殺仕事人」的な、極めて古典的で安心感のあるストーリー展開するところも上手い。軽さがわざとらしくなく、かっこつけている感じがかっこわるくて、絶妙のバランス感覚が感じられる。登場人物の設定もとても良いなあ。一気に読み終わってしまったので、速攻で続編を買ってしまった。これもなかなか良い感じ。解説に某氏が「その作家が優れているかどうかを考える時、僕はどのくらい海外作品の豊かさを血と肉にしているかを見る」と書いてあってびっくり。海外作品?なんだこりゃ。文芸評論家とは、不思議な事をいうもんなんだなあ。