米澤穂信「クドリャフカの順番」
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
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学園祭、文化系、文集、在庫、ポスター、売れ残りと、個人的なツボを直撃する設定でそれだけで楽しい。「氷菓」、「愚者のエンドロール」につづくシリーズ3作目だが、全体として落ち着いてきた感じで、安心して読める。正直、一人称が「俺」である小説はかなりの確率で生理的に受け付けないのだが、本作品は、四人の主人公がそれぞれ一人称で語るという構成のためか非常に楽しめた。この語りの方法には、物語全体の構成にも非常に重要な役割を果たすちょっとした仕掛けが仕込まれていて、最後には手品のタネ明かしのような、爽快に騙された感覚が残った。冷静に考えると犯行動機や方法は持ってまわりすぎている気がしてなんだかよく理解できなかったり、文章もめちゃくちゃ切れがあるとか異常な雰囲気を漂わせているということは全くないのだが、そのような細かな(細かくはないか?)事が気にならないくらい学園祭の雰囲気を楽しんでしまった。これも上手さか。「犬はどこだ」が楽しみです。