辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」

子どもたちは夜と遊ぶ(上)

子どもたちは夜と遊ぶ(上)

大学生と大学院生、また就職した先輩の間でおこる連続殺人事件。

メフィスト賞を受賞した前作は三分冊だったので買うのをためらわれたのだが、今回は二分冊なので、面白くなくても2000円ほどの出費と思い買ってみたが、結局きちんと買ったのは上巻だけで、下巻は本屋で粗筋だけ立ち読みしました。つまり、上巻でやめてしまうほどつまらないという訳ではなく、ストーリーも気になるものがあったが、下巻を買ってまで読んでみようとは思わないぐらいのおもしろさだった。小説としては、作り込みが浅く、語られる台詞もモノローグも、誰がしゃべっても同じ感じで、独り言を延々聞かされている気分がする。物語自体も、また例のアレですかってかんじで、新しみもなければひねりもなく、あー、こういうもの書きたかったんだ、と思うだけ。犯人のネットの使い方も不注意にすぎれば、事件を身近に引き込んでしまうきっかけも不自然きわまりない。不自然な世界に読み手を引き込む強引な力は感じられず、それはやはりこの手の若い作家の流行なのか。それに乗れない僕が、歳をとっただけなのか。