有栖川有栖「虹果て村の秘密」
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/10/26
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」シリーズの一つ。これはつまらない。このシリーズで初めてつまらない作品を読んだ。理由はなぜか考えると結構面白くて、まずこの作者は子供向けと言うことを意識して物語を作ったのだろうが、まず作品そのものが「子供向け」という枠組みをはずした場合、読むに耐えない。ストーリーは凡庸で、文章も中途半端な感がある。同時にこの作品をもっともつまらなくしているのが、この作品が「子供向け」であるというところで、上記のような作品としての詰めの甘さが感じられるとともに、教条的というか、妙に啓蒙的なところが鼻につく。しかもそれが、「ミステリ」と「ミステリー」の使い分けに関する蘊蓄だったり、「推理小説とはかくあるべきものである」みたいなところなので、ますます興醒めしてしまう。しかし、こんな展開で犯人を特定させるなんて、子供を馬鹿にしているとしか思えないなあ。あっさり犯人がわかってしまった後は後味の悪い動機が語られるのを待つしかなく、もう労働みたいに読まなければならない。ジャンルという形式にとらわれすぎた場合どんなに物語がつまらなくなるかと言うことを学ぶには良い教材かもしれない。