南條竹則「あくび猫」

あくび猫

あくび猫

国立大学で英米文学を教える「あくび先生」に拾われた猫が、あくび先生の美食と鯨飲の日々を観察する話。

「猫」とくれば「漱石」な訳で、これは基本的に漱石の「猫」の現代版、それも内容を美食と酒のみに絞り、会話をことごとく無意味でくだらなく、なおかつやたらと高尚な雰囲気を漂わせたものにしたものである。しかし、ここまで美文かつ名調子で延々と食べ物の話を読まされると、脱力感とともになにか酩酊感さえ漂ってくるのである。