柄刀一「御手洗潔対シャーロック・ホームズ」

島田荘司氏の創作した「名探偵」御手洗潔と、コナン・ドイルシャーロック・ホームズが登場する短編集。

まず、なぜわざわざ他人の創作したキャラクターを使って小説を書かなければならないのか、という気になる。それが気になるものだから、トリックだとか構成だとかさまざまなことが、やっぱりなんでわざわざそんなことをするのかという気になってしまう。途中で笑えない冗談が差し挟まれるが、本当に笑えない。ちょっと気味が悪いのは、おそらく島田荘司の作品だと言われれば、そう思ってしまうほどよく出来ている点で、これは柄刀氏の文章の、なにか悪い点がでてしまっているような気がする。しかし、有栖川有栖氏や島田荘司氏の作品に出てくる「名探偵」とその「ワトソン役」には、なにか同性愛的な雰囲気が漂い辟易するのだが、柄刀氏による島田作品のパロディーに登場する「名探偵」と「ワトソン役」にもやっぱりゲイっぽさが漂っていて面白かった。