三崎亜記「となり町戦争」
- 作者: 三崎亜記
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/01/05
- メディア: 単行本
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おすすめして頂いたのに申し訳ないが、チョーつまらない。ってゆうか、帯は詐欺だよ。1470円(税込)返して下さいって感じ。いったい、某作家の言うような批評性をこの作品のどこに感じればよいのか。ここではゲームとしての「戦争」が「現実」に存在したらどうなるか、というシミュレーションがされているだけで、そこでは当然主人公には身体性を持った痛みは与えられず、人の死はストーリーを彩るエピソードにすぎない。そして、まるでゲームのように性的欲求は満たされ、現実感をもって与えられる痛みは性的対象との離別だけ。イラクやコソボやパレスチナなど世界の至る所で、戦争は今も行われている現実なのに、この小説はそのような現実を引き寄せるどころか、意識すらしていないのではないか。その姿を批判的に描くことがもしかしたら作者の想いだったのかもしれないが、好意的に解釈してもそう読むのは難しい。飽食の時代の「戦争」想像の醜さというか、僕たちはここまで「与えられた」現実に疑問を持たず、単純なゲームの登場人物であることに疑問を持たなくなっているんだ、ということを考えさせられる。あ、それがこの小説の「深遠なテーマ」なんですか?