山田正紀「神狩り2 リッパー」

神狩り 2 リッパー

神狩り 2 リッパー

脳の存在の高次に位置するメタ思考存在を知覚するようになった人たちの群像アクションドラマ。

うん、なんだか訳がわからないがとても面白かった。まず語り口が良い。地の文で自問自答を繰り返し、「…なのだ。」「…ではないだろうか。」などとと大仰な表現を多用する。この、少年向け江戸川乱歩山田風太郎のようなB級感が、小難しい理屈を何となく分かったような気にさせてしまう。また、スピード感もすばらしい。これはもう、現代の石川順といっても良いかもしれない。また、きわめて豊かな知識に裏付けられている安心感が心地よい。悪文でありペダンティックであるところは小栗虫太郎のようで、付け焼き刃でない学識とB級の文体の結合は見事である。また、後書きがかっこよい。