神林長平「膚の下」

膚(はだえ)の下〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

膚(はだえ)の下〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

膚(はだえ)の下

膚(はだえ)の下

人間が火星で240年間冬眠している間、「機械人」と呼ばれる知性体を使って地球の環境を整備することを目的に開発された「アートルーパー」とよばれるアンドロイドのような存在の自意識のあり方をめぐる話。

相変わらず切れの良い文章、会話は洒脱で無駄がなく読みやすい。展開も、この人らしく読者の想像力の先を行く意外さと確実さで、牽引力を失わない。しかし、それでもしかし、いかんせん長過ぎる。上下2段組の680ページを超える長さには、いったい自分がいかなる作業をしているのか、ふと疑問に思ってしまう瞬間が、多々訪れてしまうのである。