大倉崇裕:白戸修の狼狽
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/04/06
- メディア: 単行本
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大倉崇裕氏の著作を読んだのは、確か「白戸修の事件簿」(初出時は「ツール・アンド・ストール」だったと思いますが)が初めてで、このマゾヒスティックとも言える主人公の事件への巻き込まれ具合と、なおかつぼんやりとした主人公がときおり見せる切れ味鋭い洞察力との対比に、とても楽しく読ませていただいた記憶がありました。本作も、それはないよね、といったスラップスティック的展開と、主人公のあくまでのんびりとしつつもどこか超人的な発想力のギャップに、とても楽しむことができました。
続きを読むS. J. ローザン:夜の試写会
- 作者: S・J・ローザン,直良和美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/04/05
- メディア: 文庫
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「チャイナタウン」や「ピアノソナタ」など、切れ味は良く爽快なのだけれども、どこか冷め切ったような、だからこその物語の奥行きを感じさせてくれるローザンの小説は、思いおこせば大学生のころから読みあさっていたわけですから、もう10年以上も前に出会ったわけになります。そのせいか、物語の語り口にはどこか丸みが感じられるというか、初期の頃ほどの生々しさはずいぶんと柔らかくなったように思えもしますが、それでも読者を突き放すような作劇法には、相変わらずぐっと捕まれてしまうと言うか、のめり込まされてしまうものがあります。
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