千早茜:魚神

魚神

魚神

現世から隔絶された島には、公認の遊郭があった。そこには本土から多くの客がやってくる。その島で、ひろわれっことして育った「姉弟」の白亜とスケキヨは、どちらも売り飛ばされる運命にあった。そして二人が離ればなれになり、白亜は遊女として、スケキヨは陰間茶屋の売り子として生きることになったとき、二人の間には、なにか不可思議な、つよい絆が生じることになる。


どこの書評で読んだのか、とても印象に残る本書を読んだのはつい最近のことなのですが、こんな素敵な物語をいままで読んでいなかったことを幸せに思うほどの、強烈な作品でした。とにかく、嘆美趣味と語り口の美しさ、そして物語のもたらすカタルシスがこの上もなく心地よい。

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