ジェイ・エイモリー:海賊船ベヘモスの襲撃 翼のない少年アズの冒険2
海賊船ベヘモスの襲撃 翼のない少年アズの冒険2 (創元推理文庫)
- 作者: ジェイ・エイモリー,圷香織
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/05/05
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
おかしいなあ。。前作はとても面白いと思って読んだのだけれど、本作は全然つまらない。エピソードが単調に大袈裟というか、文章の身振りは無駄に大きいのだけれど、感情が伝わってこないというか。ぼくはこのような対象年齢のいくぶん低いと思われる、単純な勧善懲悪の冒険物語は大好きなのだけれど、おそらくその良さってけっこう複雑だと思うのです。例えばというと、さっと思い出せるのは江戸川乱歩の怪人二十面相シリーズとか、トーベ・ヤンソンの「ムーミン谷」とかだけど、どちらも難しいですよね。
本書のように、「驚く」ために「驚かせる」、「安心させる」ために「安心させる」意図が見えてしまうのは、どうなのかなあ。作者が物語をコントロールできているようで、じつは物語が作者から物語が離陸できていない、それだからこそ当然読み手の心にも届かない、そんな気がしました。最後のあまりにわざとらしい幕切れも、同じ意味で興醒めだなあ。