山田正紀「菎崙遊撃隊」

崑崙遊撃隊 (ハルキ文庫)

崑崙遊撃隊 (ハルキ文庫)

昭和8年の中国大陸を舞台に、満州国にまつわる人々が伝説の菎崙を探し求める冒険活劇小説。最近山田正紀は書店で見つけるたびに即購入。半ば意地だな。

小説も良かったが、誰に向かって書いているのかよくわからない、愚痴っぽい後書き(ハルキ文庫)がとても面白い。当時精神的にアナーキーになっていて暴走してしまったとか(確かに砂漠に大ダコがあらわれたり巨大鮫が地面から現れたりする)、でも結局暴走しきれずその後の作品ではブレーキをかけてしまったとか、本作品に関係のないところまで筆が進んでしまっていて、読み応えがある。最後は「SFブーム」の愚痴になり、「このあと私は「若手SF作家のバッシング」の格好の的にさらされることになるのである。」で締めくくられる。別に山田正紀を取り立てて人に勧めようとも思わないが、こういう文章は読んでいてとても楽しいのです。